上記のような症状（状態）があったとしても、多くの方はすぐに病気のせいだ とは思わないようです。きっかけがある場合にはなおさらで、「こんなに辛い状 況なのだから、気分が落ち込むのも当然だ、病気ではない」と思ってしまうよう です。病気ではなく自分が至らないせいだと思ってしまうため、気の持ちようで 克服しなければいけない、と考えてしまいがちです。でも、その考え方こそ危険 なのです。病気を見逃してしまい、対応が遅れることになりかねません。

病気のせいなのか、あるいは、当然の反応なのか、なかなか判断することは困 難です。しかし、多くの患者さんをみていると、実際には病気が既に発症してい るということが多いと思われます。一見きっかけがあるように見えても、じつは 病気が先に発症していた、ということです。たとえば、仕事で失敗したために眠 れなくなった、という場合でも、実は病気のせいで仕事ができなくなっていた、 ということがよくあるのです。

病気なのかそうでないのか、そのおおざっぱな目安は、「2週間以上つらい状 態が続くかどうか」です。もし2週間以上経っても回復の兆しがなければ、病気 の可能性もある、と考えてください。 その場合、大切なことは放置してはいけない、ということです。決して自分一人 で対処しようとせず、我慢をせず、無理をせず、なにかに頼るべきだ、だれかに 相談するべきだ、と考えてください。

自分ひとりで抱え込まず、ご家族や周囲の人に相談するのもひとつの方法で す。自分自身で判断するよりもずっと、客観的な視点で判断してもらえると思い ます。その上で、やはり気の持ちようではどうにもならない、という考えに至れ ば、医療機関への受診をご検討ください。もちろん、誰にもに相談できないとい うことも多いでしょう。いずれにしても、一度専門家にご相談いただいた上で、 対応を考えることをお勧めします。

当院は「内科・心療内科」ですが、上記のような症状でお悩みの患者さんも多 く通院されています。当院は予約制ではありません。初めての方でも、診察時間 内に来院いただければけっこうです。ただ、初回は詳しくお話を聞かせていただ きたいので、なるべく早めの時間に来院してください。ご不明な点は、予め電話 で質問していただいてもけっこうです。ちなみに夜診は比較的すいているので、 午前診よりもゆっくりお話をきかせていただけることが多いです。

神経や精神に作用する薬は、一般にこわいクスリ、と言われているようです。 そう思われる一因に、耐性や依存性（習慣性）のために、クスリ無しではやって いけなくなる、薬漬けにされる、という不安があると思われます。

確かに一部の薬では耐性や依存性が問題となることはありますが、最近の薬は 以前のものに比べて改善されています。そもそも、耐性や依存性以外にも薬の副 作用として様々なものがありますが、副作用の無い薬は存在しません。それは神 経や精神に作用する薬に限ったことではありません。

当院では、一方的に薬を処方するようなことはいたしません。ひとつずつ薬効 や副作用を説明して、必要に応じて患者さんと相談した上で処方するように努め ています。たとえば、どうしても睡眠薬はこわくて飲めない、という方は、正直 にそう仰ってください。対応をいっしょに考えさせていただきます。